ネズミの鳴き声といえば「チューチュー」という表現が一般的に知られていますが、実際のネズミはそれだけでなく、非常に多様な鳴き声を使い分けています。特に都市部や住宅密集地で人々が聞く機会が多いネズミの音は、生活習慣や種類によって異なり、聞き間違いや判断ミスの原因にもなります。ここではネズミが発する主な鳴き声の種類を紹介し、それぞれの意味や特徴について詳しく解説します。
まずは、鳴き声の種類を整理してみましょう。
鳴き声の種類
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主な意味・状況
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発声の頻度
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聞こえる時間帯
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該当する種類のネズミ
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チューチュー
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一般的なコミュニケーション
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中〜高頻度
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夜間
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クマネズミ、ハツカネズミ
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キーキー
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警戒・威嚇・争い
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高頻度
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夜間
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ドブネズミ、クマネズミ
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キュッキュッ
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甘え、子ネズミの鳴き声
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低〜中頻度
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夜〜早朝
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ハツカネズミ(幼体)
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ピー
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強い不快・痛みのサイン
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稀
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突発的
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すべての種類
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カリカリ音
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かじり音、移動中の音
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高頻度
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夜間
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全般
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このように、鳴き声はネズミの種類だけでなく、その場の状況や感情、年齢によっても大きく異なります。特に「キーキー」という高音の鳴き声は、天井裏や壁の中で聞こえるケースが多く、警戒行動や喧嘩の際に発せられることが知られています。また、「キュッキュッ」は子ネズミが親に甘えるときの鳴き声であり、これが聞こえた場合は巣が近くにある可能性が非常に高いと考えられます。
また、鳴き声に関する誤解も多く見られます。たとえば、「チューチュー」という鳴き声がかわいらしいと誤認されることもありますが、実際にはストレス状態や環境への適応行動の一部であることも多く、人間にとって不快な害獣被害のサインとなることがあります。特に都市部では音声を頼りにネズミの存在を察知するしかない場合も多く、音の聞き分けが非常に重要です。
ネズミの鳴き声が多く聞こえるのは、決まって夜間や明け方にかけてです。これはネズミが夜行性であり、人間の生活が静まる夜を活動の中心にしているからです。また、音が反響しやすい天井裏や壁の中に潜んでいることも、鳴き声が目立つ一因となっています。
ネズミの鳴き声が発生する時間帯と場所を以下にまとめます。
時間帯
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主な行動
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鳴き声の傾向
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発生場所の例
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深夜0時〜3時
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餌の探索、活動のピーク
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キーキー、カリカリ音
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天井裏、壁の隙間
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明け方4時〜6時
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巣への帰還
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チューチュー、接触音
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屋根裏、床下収納
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昼間
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ほとんど寝ている
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鳴き声なし(稀)
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暗所、断熱材の隙間など
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このように、ネズミの鳴き声が聞こえる場所は、構造的に人目につきにくく、かつ暖かく湿度が一定に保たれている空間が中心です。とくに天井裏は、電線や断熱材が通っており、ネズミにとって巣作りに適した場所です。
また、鳴き声が「天井カリカリ」「壁の中でキーキー」といった形で聞こえる場合、それは単なる鳴き声に留まらず、「そこに棲んでいる」または「通り道になっている」ことを示しています。こうした場所から鳴き声がする場合は、音の記録を取りながら専門の業者に相談することが、早期対策につながります。
さらに、地域によっては木造住宅や築年数の古い物件においてネズミの侵入リスクが高くなる傾向があり、鳴き声だけでなく建物の構造自体にも注意を払う必要があります。住まいの安全と衛生を守るためには、音という情報を軽視せず、状況を的確に把握する習慣が大切です。