害獣駆除の仕事において、最も多く語られるのが体力面と精神面での厳しさです。実際にこの業務に従事している人たちは、日常的に屋根裏や床下、狭所や高所など身体に負担のかかる場所での作業に向き合っています。また、単に肉体を酷使するだけでなく、予測不能な害獣の動きや糞尿の清掃といった精神的にハードな状況にも常に冷静に対応する集中力が必要とされます。
高所作業は、たとえば屋根の隙間や軒下に住みついたコウモリやハクビシン、アライグマなどの駆除時に発生します。これらの動物は外敵から身を守るために人間が手を出しにくい場所を選ぶ傾向があり、その結果として作業員もバランスを崩しやすい斜面や足場の悪い場所での作業を余儀なくされます。命綱やヘルメットなどの安全装備は当然ながら、強風や暑さ寒さとの闘いにもなり、まさに現場は命がけの仕事ともいえるのです。
一方で、床下や屋根裏での作業には、身体の柔軟性と持久力が求められます。匍匐前進で進む必要のあるスペースでは、長時間にわたって膝をついたまま作業することもあります。加えて、湿気の多い環境や暗所では、空気がこもりやすく呼吸がしづらい場合もあるため、マスクや換気ファンを活用した対応が必須となります。
精神的な負荷も見逃せません。害獣駆除では、時に虫の大量発生や死骸の処理といった強烈な視覚や臭気にさらされる作業があります。特に糞の清掃では、感染症リスクを伴う作業となるため、専用の防護服や消毒液、マスクを装備してもなお、心理的な抵抗を感じる方は少なくありません。そうした現場においても淡々と作業を進める姿勢は、プロとしての覚悟といえるでしょう。
駆除の現場には、悪臭・騒音・暗所・虫・糞尿といったストレス要因が複数重なっていることが多いため、精神的なタフさはこの仕事における重要な資質です。加えて、こうした過酷な環境の中でも作業ミスを防ぐためには、集中力の持続が必要です。薬剤の誤使用や封鎖ミスなどがあれば、再発の原因となるばかりか、安全面にも深刻な影響を及ぼします。
現場では、体調管理も極めて重要な要素です。重作業や屋外作業の多い仕事であるため、熱中症や脱水症状、腰痛、筋肉疲労などの健康リスクが常に付きまといます。こうした健康被害を未然に防ぐために、休憩時間の確保や水分補給、作業後のストレッチやリカバリー施策も業務の一環として位置付けられています。
以下に、体力面と精神面での具体的な負荷内容と、対応方法をまとめました。
負荷の種類 |
内容 |
現場での対応例 |
高所作業 |
屋根や外壁などでの作業 |
命綱、滑り止め靴、安全講習の実施 |
狭所作業 |
床下・屋根裏での匍匐移動 |
小型照明、換気装置、作業姿勢の指導 |
異臭・糞尿 |
感染症や悪臭によるストレス |
消毒剤、防臭マスク、防護服の着用 |
害獣との接触 |
威嚇行動、咬傷のリスク |
捕獲器の活用、安全距離の確保 |
長時間作業 |
連続作業による疲労蓄積 |
休憩時間の確保、シフト制導入 |
このように、害獣駆除の仕事は単なる清掃や作業にとどまらず、極めて体力的・精神的に過酷な業務であることが分かります。しかし、その一方で、対応力や集中力、そして社会への貢献意識が問われるこの仕事には、他職種にはない特別なやりがいと使命感が存在します。厳しい環境を乗り越えるためには、業務に対する理解と準備、そして何よりも強い意志が不可欠です。